飛石とは日本庭園などに、土を踏むことなく歩けるよう、飛び飛びに配置した表面が平らな石のことです。設置する際は、石を半分ほど地中に埋めます。歩きやすいよう、40~60cmほどの歩幅を想定して、一定の距離を置いて石を敷いていきます。
間を開けずに石を敷き詰めたものは、延べ段と呼ばれます。
平安時代には、水の上に飛石を置いたとされています。その後、安土桃山時代になり、土の上に飛石が置かれるようになり、茶室の庭園の通称である露地(ろじ)に飛石が使われることが多くなりました。飛石に沿って客人が露地を鑑賞したり、飛石が茶室への導線となったりしたのです。
飛石には、いろいろなパターンの敷き方があります。飛石を敷くことを、打つともいうため、〇〇打ちという名称が多くあります。
【直打ち(ちょくうち)】
すべての飛石を真っすぐに並べる敷き方。最もシンプルな方法です。
【二連打ち】
2つの石をまっすぐに敷いたら、次の石を右もしくは左にずらして敷く敷き方。直打ちより変化があります。
【三連打ち】
3つの石をまっすぐに敷いたら、次の石を右もしくは左にずらして敷く敷き方。直打ちより変化があります。
【二三連打ち】
二連と三連を順番に、斜めになるように並べる敷き方。導線の方向を変える際にも使われます。
【千鳥打ち】
左右交互になるよう、石を1つずつジグザグに敷く敷き方。この方法が一番歩きやすいと言われます。
【厠掛け】
厠が空を飛んでいるように、3~4つずつ「く」の字に石を並べていく敷き方。
【七五三打ち】
おめでたい数字として用いられる奇数「七五三」を利用した敷き方。7つ、5つ、3つという単位で並べていく打ち方です。近くには大きめの石を、遠くに小さめの石を敷くことで、遠近法により広く見せる効果もあります。
【いかだ打ち】
石と石の途中に平行した二本の板状の石を並べる敷き方。2枚の石がいかだのように見えるためこのような名前になりました。
これらの敷き方を組み合わせることもあります。ほかにも四連打ち、三連打ちと四連打ちを組み合わせた三四連打ちなどもあります。
導線として飛石を打っていくパターンも重要ですが、その石の種類や間隔に工夫をする事で、歩く人の様々な環境を変える事もできます。
例えば、回遊式庭園などで景色が今ひとつ良くなかったり、周りをあまり見てほしくないエリアだったりした時には、小さな石を連続的に据えると、歩く人は足下に不安を感じるので、自然と下を向いて飛石を渡る事になります。
飛石は、日本庭園で多く見られるため、和風のイメージがあるでしょう。しかし現在では、石の代わりにタイルやガラス素材の飛石を使うことで洋風に仕上げることもあります。ほかにも、ステップストーンと呼ばれる、天然石材とコンクリートの平板を合わせたものなども使われることもあります。