大きな構造物が据え終わったら、地面の植栽や砂利敷きなどを行なっていきます。
玄関側から見ると、この坪庭はかなり低い位置にあるので、玄関に立った時には地面は見えない状態です。
ですので、実際に家に上がって部屋へ通されるその一瞬、お客様が目をやれば庭の地面が見える状態になりますからあまり奇抜にせずあっさりと仕上げようと思いました。
まずは地割り。タマリュウという地被類と砂利敷の境目を描きます。
ここで庭の大部分が決まると言っても過言ではないので、慎重にかつ大胆に?決めていきます。その際、作庭を担当している職人とも話したりします。
次に砂利敷きエリアに雑草を防止する棒草シートを貼っていきます。
特に隅の方は念入りに。裾を立ち上げるくらいの余裕を持たせて施工しています。
目に見えない部分なので、あっさり仕上げようと思えば簡単な話なのでしょうけれど、目に見えない部分だからこそ、何かの拍子にお施主様に見えてしまった時の印象が違うと思うのです。手は抜けません。
タマリュウと白川砂利のコントラストが美しい、とっても分かりやすい和風の坪庭、これにて完成です。
垣根から奥、裏の部分はもう少し手間が加わるので砂利敷きは一旦保留してあります。
立木は元々お施主様のお宅に植えてあったサザンカです。
木に関しては一年前に掘り取って会社の畑に仮植えしてあったものをしっかり使って作庭しました。
玄関をガラリと開けると、手前の大津垣と奥の大和塀が交差するように見え、隣家の駐車場を目隠ししつつ、奥行き感を出します。
玄関を上がってふと坪庭に目を落とすと、砂利とタマリュウの坪庭。
植栽が育ちにくい環境につき、サザンカの育成も少し不安なのですが、そこは毎日の水やりを欠かさず行なっていただくとして、比較的メンテナンスのしやすい庭に仕上げることができました。
住宅の雰囲気とぴったり合わせることができたんじゃないかと思います。
とかくこういうシチュエーションの坪庭は奇抜さを狙ってしまいがちですが、ストレートに表現できたのも、お施主様のご要望を汲みつつ作業できたことが大きいんじゃないかと感じています。
やはり、こういう庭造りは、どこかのハウスメーカーの下請けでは味わえない仕事なのかなと思いますし、20年前に「メーカーの下請けに回って作庭数を伸ばすか?」「作庭数は少ないけれどお施主様直接注文にこだわってきめ細かく作庭するか?」の選択を迫られた時に選んだ道は間違っていなかったのかもなと思います。
もっとも、建築会社様のご紹介で直接庭づくりをさせていただくという機会も結構あるので、もしご覧の建築会社様がいらっしゃれば、ご相談ください。
次は玄関前エリアの作庭に移っていきます。