倉庫の裏にあるデッドスペースをキレイに整備できないかというご依頼をいただきました。
写真には写っていませんが、すぐ横には畑があるので、畑仕事の休憩に使ったり、ちょっとした集まり(お茶会とかバーベキューとか?)に使ったり、構想は広がります。実はこの段階が一番楽しいのかもしれませんね(笑)
とりあえずボサボサになっていたスペースを草刈り&樹木剪定を行い、全容の見える状態にしました。朽ちそうに見える小屋の様なものも趣があっていいですね!茶道でいうところの待合のような感じに使えるかもしれませんが、とりあえずこのスペースは保留という事で、その他の広いスペースをキレイな庭にして、ローメンテナンスを実現させることを主眼に置き、進めていきます。
バックホウ(ショベルカー)を使って雑草の根や不要な樹木の根も掘り取っていきます。この段階でしっかり根っこの処理をしておかないと、後々どこからともなく伸びてくる量が多くなりすぎてしまって、全く取り返しがつかなくなってしまいますので、時間をかけて作業します。
きっちりと下地を作ることができました。
その次は防草シートと砂利敷きを行います。
防草シートは予算の関係もあり、簡易的な薄手のシートを採用しました。
当社ではこのシートといかな雑草にも負けないと触れ込みのザバーンの2種類を採用しています。
簡易シートは確かに強度も弱いですし、放っておけば劣化も早いのですが、シートの上に砂利を敷く条件下であれば紫外線による劣化も問題ないので、こちらの経済的なシートをお勧めする様にしています。
このほか、様々な制約もあったりしますので、詳細は現場ごとにお伝えできればと思います。
とにかく、今回の現場ではこちらの簡易シートでも問題ないという結論です。
切り株を残してあるのは、切り株の脇から芽を出させて新たな雰囲気の庭木として生まれ変わらせようという試みです。
ズドーン!と太い幹が高く伸びる庭木から、根本で何本か細い幹が伸びる株立ちのような雰囲気を持たせようとしています。
完成までに数年かかるかと思いますが、そこは自然の生き物ですので、待っていただき、年々成長していく樹木を時折見ては「おっ!?」となるのもまたオツなのではないでしょうか。
また、しばらく手をつけていないスペースをしっかり整地すると思わぬ問題点が解消したりします。
何だかジメジメしているなぁ、こんなはずじゃないんだけどなぁ、と不思議に感じていたところ、何と排水がうまくいっていなかった問題点を発見しました。
倉庫の屋根に降った雨水が雨樋を通って雨水パイプに入るのですが、肝心の地上部分が地下へと続く部品とジョイントされておらず、ボサボサの枝の干渉などによって、上手く地中へ雨水が入っていなかったんですね。様々な思惑もあって地中部と地上部のジョイントはしていなかったんでしょう。この構造はこのままおくとして、パイプの周辺は防草シートと砂利で覆ってしまうので、これ以降、枝が干渉する様な事はないと言えるでしょう。これで、ジメジメも軽減されるかと思います。
残した植栽の周りには小石で砂利留めを行い、地被類を植えて庭のバランスを整えます。
元々このエリアにはツワブキが大量に生えていましたので、それを再利用しない手はありません。
ツワブキは草の類にしては幅も高さも強調することができ、丸い葉っぱも印象的な本当に使い勝手の良い植物です。
和風によりすぎてしまうのは難点と言えば難点ですが、他に組み合わせる植物次第で様々なカテゴリーの庭に植栽できると思います。
日陰にも強いので、うちの庭は日陰で・・・とお悩みの方は、ぜひ使ってみてください。
再利用といえば、こちらの側溝ふた。これも現場に大量に余っていたものですが、庭エリアと倉庫の表側を繋ぐための通路を歩きやすく汚れにくくするために再利用しました。
これだけの通路面積をオシャレなアンティークレンガで作ろうと思ったら、まあ予算がいくらあっても足りません。側溝のふたといえど、歩きやすさや足元の汚れなさは抜群に良いのです。庭のメインエリアからは外れているので、まあこういう通路もご愛嬌ということで。
畑と庭は実は段差があって間知ブロックで仕切られているのですが、長年の使用によって埋め立てられ、畑と庭がほぼフラットな高さになっている部分もあります。そこに、鉄平石という薄い石をモルタルで据えてその左右をしがらみで通れない様にし「入口出口はここですよ」と暗黙のうちに利用者に伝えるエリアを作りました。
間知ブロックの一番上はコンクリートとモルタルでまっ平に仕上げてあるので,その上に石を置いても高さが出過ぎてしまいがちなのですが、鉄平石は薄いものもありますので、違和感なくモルタルの天端の上に据えることができます。
また,竹をしならせて作る「しがらみ」も、近くにある竹林と相待って良い雰囲気を作ってくれています。
(ちなみに世間のしがらみなど、がんじがらめの人間関係を表すしがらみという言葉の語源でもあります。写真を見ると確かに、振り解きにくい形状をしています・笑)
もう一箇所、庭から畑へ、畑から庭へと移動する階段をつくりました。
細かい仕事をしても全く生きてこない広大なスペースの一角ですので、逆にあえて、現場にあった石ころと木の杭、番線などを使って無骨に仕上げてみました。
思ったよりも良い味が出ているんじゃないかなと感じます。
これにて、人が集まることを意識した、ローメンテナンスの畑横の庭、完成です。
今現在、コロナ禍によってなかなか活かせないのかもしれませんが、いつかきっと、畑仕事の休憩に皆で笑いながら楽しんでいただけることを信じています。