いよいよ現場の仕上げ段階に入ってきました。
今回は、今現在植えてあるけれど何だか元気が無いなぁという
植栽に活力を取り戻そうとする試みになります。
ナンテンですが、何だか今ひとつな感じがしませんか?
撮影時期はゴールデンウィークが明けてすぐの5月上旬。
もっと新芽が力強く出てきても良い筈なのですが、そういう兆候が見られません。
地面に目をやると、何だか湿っぽいです。
こちらはヒイラギです。
明らかに樹勢が弱いのが見て取れると思います。
地面の状況は・・・こちらは高めに植えてあって根っこに盛られている土に何だか違和感があります。
基本的に樹木の樹勢を決める最大ポイントは土にあります。
団粒構造という「固まりやすいけどほぐれやすい」というワガママボディ(笑)を持った土が最もいい土とされていて、大抵の植物はこの土を好みます。(もちろん、岩肌の裂け目から生えているようなシブカワツツジなんかは例外です。)
団粒構造は、小さな土の粒子と粒子が適度にくっついた団子をいくつも形成している状態で、なぜこれが良いかといいますと、団子と団子の隙間に水分が流れてくれるからなんですね。
植物は基本、土中の水分に溶けている養分や酸素しか吸収できませんので、栄養摂取も呼吸のための酸素摂取も、土中の水分を根っこが吸い上げやすいような環境で無かったら、ストレスが掛かってしまう訳なのです。
これらを踏まえて、今回は根っこ周りの環境を整えてあげるのが主目的になります。
まずは水分を上げやすい土を周りに作るのが先決なんですね。
間違っても化成肥料とかをガンガン施肥するというようなことは避けてください。
化成肥料は根っこにあたると悪影響がありますし、そもそも病人にサーロインステーキを与えても元気にならないのと同じ理屈です。
こちらは最初にご紹介したナンテン。
樹木自体が小さいので、一度掘り上げて土の環境を整えてから再度植え込みました。
予想通り、根っこの伸びはあまり良くなかったので、こうやって掘り上げた際に根っこの先端を鋭利な刃物で(この場合はハサミで)スパッと切っておくと後々の発根がキレイに行ったりします。
根っこと土の塊の事を根鉢(ねばち)というのですが、根鉢と幹や枝葉とのバランスを見ると植え込みをした後に倒れる心配はなさそうだったので、支柱はナシで植栽しました。
こちらはヒイラギ。
重量もあるので持ち上げる事はせず、根鉢周辺の根っこを一度きれいに整理して発根を促し根っこ周辺の土を多めに盛り付け、根っこを乾燥から守るようにしました。
ヒイラギに関してはお金を掛ければ掛けるほど、もっと効果的な施工もできるのですが、まあそこはご予算とのバランスもありますし、だいたいこのくらいかなーという落としどころにしました。
あとは経過観察。植栽工事を行った際は、3か月後6か月後、1年後と定期的に巡回を行うようにしていますので、今後の育成状況を見守りたいと思います。