新たな造園のご依頼をいただきました。
久しぶりに庭の中を歩いて鑑賞できるタイプの造園依頼になります。
今現在も色々と植栽されていますが、今ひとつ気に入らないご様子でして、使えるものは使いつつ、四季折々の変化を楽しめて草花の栽培も楽しめる、そして散策して楽しい庭をご所望でした。
庭の一角にあるソテツの木がとても印象的で、これは移植するには大ごとだし、撤去してしまうには忍びないと言うことで、ソテツをこのまま活かしつつご要望を取り入れる庭の構想を練ることとなりました。
今回は、私が庭のデザインをしていく過程を恥ずかしげもなく公開してみようと思います。
まずは敷地の図面を起こします。
普段は建物に隣接している場合が多かったり、動かしてはいけないものもあったりしますので、もっと具体的に形がある図面からスタートするのですが、今回は敷地の形、大きさ、そしてソテツの位置。これだけが条件なので、なかなか発想するにも骨が折れることになりそうです(笑)
で、第2段階がこちらになります。
「なめてんのか」とお叱りを受けそうですが・・・本当に何かを端折っているわけではなく、最初の図面に鉛筆による手書きでガーッと庭を描いていきます。描き始めれば30分くらいなのですが、鉛筆が動き始めるまでに3日くらい掛かっています。お庭のことを薄っすら頭の片隅に置いた状態で普通に日常生活を送り、何かを熟成させます。何が熟成しているのかはわかりません(笑)
全体像が薄っすら浮かび上がってきてから明確な全体像がくることもあれば、とある一角が具体的に浮かんできて、そこから全体に派生することもあります。
色々とあるのでしょうが、私はこのどちらかになります。
手書きで何となく書いたものは実際のサイズと乖離している場合があります。
例えば飛び石の大きさやピッチ、庭門のサイズ感などはエイヤーと書いているので実際はもっと大きかったり逆に小さかったりします。
ですから、まずが簡易的にCADで図面を引いてみます。サイズはどうなのかな?飛び石の数はどのくらいかな?という感じでリアルなサイズを図に落とし込んでいきます。
ここである程度樹種なども決まるので、どの庭木がどのくらい必要かとか、こんな石がこれくらい必要だなとか、見積の材料になるネタが浮かび上がってきますので、それはそれで見積作業をスタートさせます。
最後に、パースを描くため&お客様に見せるための平面図を完成させていきます。
ここまでくるとかなり具体的に工法も定まっていますので、見積もりも具体的なものが出来上がってきます。
ご予算と相談したり、微調整を重ねたり、個人的にはあまり楽しくない作業に突入します・・・
パース担当者からキレイな図面が上がってきました。庭の中を実際に歩くイメージを少しでも具体的に持っていただくために、今回はアイソメという平面っぽさもありながら立体図っぽさもある図面もお付けしました。
さあ、GOサインをいただいたので、作庭に入っていきます。細かい修正のご許可はいただいているので、予算の枠組みを意識しながら実際の作庭に合わせてより良い庭づくりをしていきたいと思います。