今回は作庭というより縮庭とでもいいましょうか。
庭の植栽部分を減らして駐車スペースを広くしたいという今流行りの庭工事を取り上げたいと思います。
庭には安らぎがあります。
その安らぎを空間に表現することこそ、私たちのするべき事、いわばミッションというのか理念というのか、そういう根っこの部分になってくると思うんですね。
その庭が原因で、家族の中に暗雲が立ち込めたり、悩みが増えたり、ネガティブな事が起こってしまうのは私たちの本意ではないはずです。
「庭を小さくしたいのだけど」そういったご相談をいただいたときは、しっかりその理由をヒアリングさせていただきます。もちろん、そこまでしてしまうと逆に行きすぎて庭から得られる安らぎすらも失われてしまうな、と感じた時は遠慮なくご意見申し上げていますが、これは庭を縮小しないとご家族の安らぎそのものが失われてしまうと感じた時は、躊躇なくそのご意見に賛同し、どうやったら最適解を得られるのか?という落とし所を探すのに全力を注がせていただいています。
駐車スペースが足らない。門被りのマツが不要。大きめの木は不要。垣根は不要・・・数え上げればキリのない庭縮小のお話ですが、これが無くなるとこういう事が起こりますよ、それよりこうしたらどうでしょうか?というお話をさせていただきつつ、縮庭の良い落とし所を探る事ができました。
夏の繁忙期を挟んでいたお話でしたので、まずは何はともあれ剪定です。
門被りのマツはこの時に伐採してしまいました。
庭の全容が見えてきてどう縮小したらいいか?考えがまとまりました。
庭の角を占め枝葉を大きく伸ばしていた庭木を撤去し、空いたスペースを詰め、元々縁石に使われていた石を再利用しました。
これだけでもかなり広くなったのではないかと思います。
元々飛び石と砂利のスペースは、概ねそのまま置く事にしました。
手前の砕石スペースとの境目は小さな石で切り分けたので段差が小さく、いざとなったら(人を寄せるなど車が一時的に増えるタイミングなど)ここにも車を入れられるようになっています。
あとは砕石が馴染んでくれば雨天の汚れも無くなります。
庭の縮小は、正直いえばあまり気が進まないのですが、お客様の心の安らぎを得ていただくという大義の前には、私たち業者視点の自己満足などとるに足らない問題です。本当に大事なのは、庭から何を得ていただけるのか?それに尽きるんじゃないかなと感じています。
ところで、最後にちょっとお客様のオーダーとは違う作業をひとつ。
庭の入り口で幅を利かせていたマツですが、お客様のオーダーでは伐採抜根だったのですが、掘削のための重機も現場に入れましたし、かかる手間はそんなに変わらないだろうということで、掘り取って持ち帰る事にしました。
もちろん、転売する先など全く決まっていませんし、これからの庭園事情を考えると売れ残ってしまう可能大ですが、あまりに忍びなくて...庭の片隅に植えておこうかと思います。