2018年07月09日
台杉の和風庭園、完成です。
玄関先は雑木と手水鉢の坪庭。
エゴの木をメインにし、低木類は極力少なくして、今後ワサワサならないように(笑)古銭鉢は特に用途は無いですがオブジェ的に据えました。
来客のあった際に、例えばツバキの花を浮かべるとか、色々演出に使って頂ければと思います。
マキの仕立てとクロマツは元々所有されていたお客様の木です。
台杉が印象的な庭の焦点となる水鉢と鉄平石の大きな飛び石。この間の瓦と砂利のエリアが、庭に降った雨を吸収する排水マスの役割を担っています。
ご要望もあってウメを取り入れました。
背後の山並みは良いのですが、ビニルハウスと電柱はどうしても庭の景観を損ねてしまうので(かといって撤去するわけにもいかず)台杉の縦へのパワーを借りつつ、水鉢や鉄平石などで目線を下げ、何とか目立たない方策が無いかと考えていました。
最後に、目立たない庭奥のエリアにお客様の所有するツバキとクロマツの小庭。
土を盛った築山の斜面保護も兼ねた植栽はタマリュウという植物です。風が強く空気が乾燥しがちな浜松では、苔の庭を造る事が非常に難しく、かなり限定した環境下でないと良い苔庭にはなりません。
そこで、様々な下草を使う訳ですが、タマリュウというこの植物は緑も濃く、葉も細かく、また育てやすい植物なので重宝しています。
これで、台杉を使った和風の庭が完成です。
本当に久しぶりに台杉を使わせていただいたり、比較的お任せの意見が多かったりで、楽しい現場でした。ありがとうございました。
2018年07月06日
庭を造っていて地味ですが非常に頭を悩ませる問題が排水です。
雨が降って庭に溜まった水は石と石の間にある飾りの瓦のある所へ集まるように土の高さを仕上げていきます。
瓦の周囲及び底部は砂利を投入すれば、自然の排水マスの出来上がりです。
側壁が崩れないように防草シートで補強します。
庭の中に四角いコンクリートの排水マスがあると、それだけで何だかガッカリですよね。見る事、見られる事を前提にした庭の場合、このような工夫も必要になります。
屋根からポタポタ落ちる雨粒は、土に跳ねて建物の基礎を汚してしまいます。
砂利の上に落ちるようにすれば、基礎は汚れません。
また、玄関ポーチ脇から出る薄い排水パイプの水も、この雨落ちを伝って建物の裏にある排水マスへと誘導できます。
排水マスから石垣の間を通して、お客様の住宅と畑の間に造った側溝に流し、最後は公共の排水路へ。
これで雨が貯まりにくい庭になりました。
2018年07月02日
いよいよ台杉仕立てのスギを植えていきます。
今回は大中小の3本を庭の南西にまとめて植栽します。
細く真っ直ぐ何本も立ち上がる幹が持ち味の台杉ですが、一本だけではその持ち味は活かしきれません。
というのは、台杉がなぜ独特の形をしているのか?というと、これは建築資材を効率よく採取するために編み出された育成方法がルーツだからなんですね。その産地である北山地方へ行くと、それこそ立錐の余地も無いほどに細い幹が立ち上がっていて、そういう縦にストレートな力を、見る人へ発揮するには、一本では足らない事が分かります。
せめて三本。それで台杉の持つ大きな縦への力を発揮させ、庭の外に見える電柱の野暮な気配を緩和させられると感じたのです。
同時進行的に石工事も進めていきます。
手前の石は大きく、奥の石は少し小さく、いわずとしれた遠近法。
庭造りのシーンでも重宝する技法ですが、庭に出て何かするという事が多い庭の場合はあまり効果は発揮しません。絵画のように眺めるからこそ、絵画のような技法が成立するので、その場に行ったら、ただの大きい石と小さい石になってしまうので、注意して下さい・・・
大きめの木が植え終わりました。
一日で庭の様子がガラッと変わる工程ですね。ここからは仕上げに入っていきます。
2018年06月29日
庭石を据えていきます。
まず地割します。
「じわり」とは簡単に言うとどこに何を置いたり植えたりするかという目安の事です。
また、土を盛って山にする位置や輪郭なども指示します。
棒で地面に線を引いたりスプレーで印をしたり。
ここで職方と共通意識を取れれば、ほぼ大丈夫です。段取り八分と言われる所以なのかもしれませんね。
位置が決まったらドンドン据えていきます。
写真に写っている丸太、懐かしい世代の方もいらっしゃるかもしれませんね。
これは「たつ棒」と呼んでいるもので、チェーンブロックという人力クレーンを高い位置に設置するための道具なんですね。
クレーン車の届く場所なら必要無いのですが、どうしても届かない、しかし微妙な石の角度が大事、という場合にウチでは使います。また、小さめの庭木撤去の際にも威力を発揮します。
なかなか役に立つ道具です。
石を据えながら盛り土も同時に行っていきます。
手間仕事が多い大変な工程ですが楽しい庭造り仕事は、皆嬉々として取り組んでいます。
2018年06月25日
それでは玄関先の小庭に移っていきましょう。
庭木を360度全方向から花も実も観賞できて、落葉で和庭に合うエゴノキを主に、古銭鉢という手水鉢と庭石で構成します。
まずは構想の共有から。
古銭鉢は「こせんばち」と読みます。古いお金を模した形をしているのでそう呼びます。
使ったのはよくあるタイプの鉢で真ん中にくり抜かれた四角い穴を口(くち)という感じに見立てると、「吾唯知足(われただたるをしる)」と読めます。
これは京都の竜安寺というお寺にある手水鉢を模した鉢で、言葉の意味は「貴方はもう満たされている事を知りなさい」とかそういうニュアンスの言葉です。
閑話休題。
各種設置をしたら
タマリュウで築山を土留めして完成。
ヒイラギナンテンとカンツバキもあしらいました。