2022年02月25日
今回は数少ない外構工事。
アルミ擬木の埋け込み作業です。
最近はアルミへのラッピング技術もメーカー各社しのぎを削って向上を計っていて、鑑賞に耐えうる製品がとても多くなってきました。
コチラのメーカーは大手のメーカーなのですが、とてもいい感じです。
本物の枕木や木柱には当然見えないけれど、アルミ製品としての擬木の良さが出ていると思います。
アルミ擬木の持ち味は当たり前ですが不自然なまでの直線。
このピシッとした直線を活かすには、連続した擬木の埋け込みがとても有効です。
何本か整然と並べて埋けることで、製品の持っている勢い(その物質が放っているパワーやベクトル)をうまく調整することができます。
一本では弱々しい、直線が強いので勢いが完全に定まってしまうところを、何本か並べることで、勢いを発するというより受ける要素も高まっています。
今後、個性的な植栽を増やしていく場合は、このような人工的なものがあると庭に整理がつくので、草花の更新をしていくときにやりやすいのでは無いかと思います。
実際に植栽まで入った感じはこうなります。
結構目立って見えていた擬木が、ずいぶん馴染んでいると思います。
植栽が成長してサイズアップしてくれば、もっと庭との一体感が進むと思います。
これからが楽しみですね。
防草シートの施工です。
今回は上に砂利を敷くので、あまり力んで高級な防草シートにせずに、汎用タイプのシートを採用しました。
とはいっても、織ってある格安のシートではなく、不織布ですので、草がシートを突き破って生えてくるというシチュエーションはないと思います。
庭の隅々までしっかりと。
かなり完璧を目指す時は、シートの一番端の部分を構造物に接着したりすることもあります。これを行うと、草が生えてくる余地が全くなくなるのでもう一段防草効果が高まります。ただ、接着効果も相当なものになりますので、建物の基礎などに接着すると、いざ剥がす際には綺麗に剥がれなかったりすると思うので、注意が必要です。
築山(盛り土)と防草シートの境目が上手くいかないというご意見もありますが、上手くやる必要はなくて、防草シートを水平に敷いた上に土を被せてしまっても全く問題ありません。
要は、きれいに砂利と土の境目が出来上がって、砂利側からは草が生えなければいいのです。
築山から草が生えるのは、自然の摂理ですので、こちらはどうしようもありません。
タマリュウマットやリュウノヒゲなどを使って土留めをします。
京都のお庭のように苔を使えればいいのですが、ここは遠州の空っ風吹き荒ぶ浜松ですので、苔をどうにかしようという非常に成功率が低く経費が嵩んでしまう手法は、なかなか取れません。
落ち着いた雰囲気を醸し出せるグランドカバーは常にアンテナを張って探し続けなければいけませんね。
今回は、糊の効いたマルチングを実施しました。植栽が何とかなる前に雨で築山の土が流失してしまって、庭が台無しになるのを防ぎます。
今回の築山は角度も急なので、なおさら必要でした。
次回は、いよいよ植栽の仕上げ作業についてお話ししたいと思います。
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私たち舩越造園は、浜松市内で庭リフォームを主に手掛けています。
創業60年余り積み上げてきた実績・経験とノウハウを強みに、新築案件には無いそれぞれのご家庭の問題点やお困りごとなどを解決します。
お問い合わせはこちらのリンクからフォームでお願いします。
入力が面倒くさいという方は電話でのご連絡でも大丈夫です。(担当者が不在の場合もございます。ご了承ください。)
2022年02月18日
いよいよ現場作業に移っていきます。
メインツリーになるマユミの周辺に植えてあった下草等は一旦取り除いて作業がしやすいようにします。お客様が不要だとおっしゃられた植栽は処分しますが、ここはできるだけ再利用を心がけたいものです。
元々あった飛石を再利用です。
しっかり据え付けてしまう前に一旦飛石を仮に置いてみて配置を確認します。
石と石の連携が上手くいっていると力加減が程よい流れるような飛石の配置になりますので、ここはベテラン職人の腕の見せ所になります。
少し大きめの庭石は、チェーンブロックを使って据え付けます。
仮想通貨ではありませんよ!鎖をカラカラ回すことでクレーンが上下する昔ながらの道具です。
トラックにクレーンが付いて気軽に重量物を釣り上げられる世の中になっても、狭小地ではまだまだチェーンブロックが大活躍です。
力仕事は若手の領域。
皆、庭屋さんの伝統作業ですから前のめりに作業します。
逆にこういう面白い現場でチンタラやっていたら・・・私は優しいので怒ったりはしませんが、庭作りのチャンスは自ら気がつくまでは、2度と回ってこないでしょう。それだけ、取り組み姿勢が成長に大きく影響する業務です。
庭づくりの天敵は雨です・・・
この時は雨が多くて泣かされました。
できることだけでも進めようと思っても、少し作業を行うと、もうこんな感じです。
現場もきれいになりませんし、施工を止めて我慢しなければいけない時間も必要だったりします。
実際、このまま作業を進めても逆に現場を汚してしまったりして、きれいにする時間を無駄に取られたり、ただ歩いているだけの動線を無意味に汚したり、全くいい事はありませんね・・・でも、いちるの望みをかけて、現場作業に入ったりしちゃうんですよね。反省です。
なんだかんだ、ありましたが何とか石の据え付けは完了です。
大きく現場の流れや方向性が変わる可能性があるのは、ここまでです。
次は防草シートや砂利、植栽などに進んでいきます。
私たち舩越造園は、浜松市内で庭リフォームを主に手掛けています。
創業60年余り積み上げてきた実績・経験とノウハウを強みに、新築案件には無いそれぞれのご家庭の問題点やお困りごとなどを解決します。
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入力が面倒くさいという方は電話でのご連絡でも大丈夫です。(担当者が不在の場合もございます。ご了承ください。)
2021年11月05日
今回は狭小エリアの坪庭を回収する仕事をご紹介いたします。
住宅によってコの字に囲まれた狭小スペースでして、日当たりもそれほど良くはないのですが、割と植物は育っています。
大きなマユミの木が存在感を示しています。
単幹の姿がいいマユミですので、これは生かして庭の軸にしたいと思います。
幹肌の模様も個性があっていいんです。
毎日食事時に眺めているのに何だか味気ない...四季折々の変化を見せる庭にしたい。というご要望をいただきまして、さまざまヒアリングした結果、以下のようなご提案となりました。
パースはこのようなイメージで提出いたしました。
もちろん、こんなに全ての花が咲くわけではありませんが、咲いていないところを描いても仕方ないですし、春夏秋冬花が咲き続ける動画を制作してもちょっと経費負けしてしまいますし...渾身のパース図でご説明させていただくことで最近はご理解いただいています。
もちろん、春夏秋冬の変化を動画で表現して説明してほしい!という方はおっしゃってください。少し時間と予算をいただくことになりますが、いいものをご提案させていただきます。
今回のプレゼンは女性デザイナーAさんのデビュー戦でした。
イチからしっかり取り組んで施工完成まで責任を持つのは初めての現場なので、緊張とともにやる気もみなぎっているのが感じられました。
私はトラディショナルな要素が強い庭で頑張るとして、女性が最終意思決定者であったり最新のデザインを求められていたりした場合は、彼女の活躍に大いに期待したいと思います。
もちろん、現場経験の無い彼女は植栽などに関する知識は浅いので、しっかりフォローしていきます。葉っぱの形状や冬越しの形状など、基本からです。
渾身の提案あってか、お客様のご理解も得られて採用となりました。
次回は施工についてアップしたいと思います。
2021年10月25日
今回は作庭というより縮庭とでもいいましょうか。
庭の植栽部分を減らして駐車スペースを広くしたいという今流行りの庭工事を取り上げたいと思います。
庭には安らぎがあります。
その安らぎを空間に表現することこそ、私たちのするべき事、いわばミッションというのか理念というのか、そういう根っこの部分になってくると思うんですね。
その庭が原因で、家族の中に暗雲が立ち込めたり、悩みが増えたり、ネガティブな事が起こってしまうのは私たちの本意ではないはずです。
「庭を小さくしたいのだけど」そういったご相談をいただいたときは、しっかりその理由をヒアリングさせていただきます。もちろん、そこまでしてしまうと逆に行きすぎて庭から得られる安らぎすらも失われてしまうな、と感じた時は遠慮なくご意見申し上げていますが、これは庭を縮小しないとご家族の安らぎそのものが失われてしまうと感じた時は、躊躇なくそのご意見に賛同し、どうやったら最適解を得られるのか?という落とし所を探すのに全力を注がせていただいています。
駐車スペースが足らない。門被りのマツが不要。大きめの木は不要。垣根は不要・・・数え上げればキリのない庭縮小のお話ですが、これが無くなるとこういう事が起こりますよ、それよりこうしたらどうでしょうか?というお話をさせていただきつつ、縮庭の良い落とし所を探る事ができました。
夏の繁忙期を挟んでいたお話でしたので、まずは何はともあれ剪定です。
門被りのマツはこの時に伐採してしまいました。
庭の全容が見えてきてどう縮小したらいいか?考えがまとまりました。
庭の角を占め枝葉を大きく伸ばしていた庭木を撤去し、空いたスペースを詰め、元々縁石に使われていた石を再利用しました。
これだけでもかなり広くなったのではないかと思います。
元々飛び石と砂利のスペースは、概ねそのまま置く事にしました。
手前の砕石スペースとの境目は小さな石で切り分けたので段差が小さく、いざとなったら(人を寄せるなど車が一時的に増えるタイミングなど)ここにも車を入れられるようになっています。
あとは砕石が馴染んでくれば雨天の汚れも無くなります。
庭の縮小は、正直いえばあまり気が進まないのですが、お客様の心の安らぎを得ていただくという大義の前には、私たち業者視点の自己満足などとるに足らない問題です。本当に大事なのは、庭から何を得ていただけるのか?それに尽きるんじゃないかなと感じています。
ところで、最後にちょっとお客様のオーダーとは違う作業をひとつ。
庭の入り口で幅を利かせていたマツですが、お客様のオーダーでは伐採抜根だったのですが、掘削のための重機も現場に入れましたし、かかる手間はそんなに変わらないだろうということで、掘り取って持ち帰る事にしました。
もちろん、転売する先など全く決まっていませんし、これからの庭園事情を考えると売れ残ってしまう可能大ですが、あまりに忍びなくて...庭の片隅に植えておこうかと思います。
2021年10月18日
それでは、完成したS様邸のお庭の全貌をご紹介します。
庭への入り口は東側と西側の2ヶ所あり、こちらは東側の入り口です。
バックホウではビクとも動かない巨大な石を転がった姿勢そのままで庭への入り口ステップとして使いました。どうでしょうか?違和感ないと思います。
今そこにあるどうしようもない条件を上手く利用して庭に活かすのも、年季の入った庭屋さんならではじゃないかなと思います。
奥へ入っていく通路は、あられこぼしという石畳の手法で、一見して安定感があまりないような造りになっています(実際は石がもげてしまうようなことはないですよ)。人は不安定そうな足場の時は目線が下に向くので、奥へ歩いていく際に正面にある隣家の物置などに目が行きにくいような狙いがあります。
同じ入り口から入って右に振り向くと庭門へ向かう道があります。
こちらは逆に伸び伸びと歩いていただきたいので、平石も使った一見して歩きやすい石畳になっています。庭門をくぐってその奥には何があるんでしょうね?
庭の奥まで突き当たって西を向けば、三和土に似た土舗装と呼ばれる通路になっています。砂を平らに均す程度の技術力と水やりのタイミングを逃さない時間配分ができさえすれば、比較的簡単に作ることができますので、案外素人の方も気軽に作業できちゃうのかもしれませんね。今回は予算配分を決めるにあたり、奥の通路は簡素化を目指しましたので、メリハリを持って各通路の工法をチョイスしました。
そして前回ご紹介したモミジ並木へと繋がっていきます。
陽の光を浴びて木漏れ日が眩しい感じもいいなぁと思ってしまいました。
我が家にもほしいです(笑)
オリジナル板塀も植栽と相まって良いバランスを見せ始めています。
これからもっと良くなってくれると感じました。
今回は概ねのご予算はあるものの、ほぼ全てお任せという大変楽しい庭づくりをさせていただきました。
ただ楽しいだけではなく、お任せいただいた責任を感じ、少しでも良いものを!と毎日何か工夫を重ねるというお任せならではの品質の高め方を実施いたしました。
おかげでとても良い庭になったと感じていますし、お客様にも大変喜んでいただいているので、庭屋冥利に尽きるなと思います。