2021年07月12日
いよいよ現場の仕上げ段階に入ってきました。
今回は、今現在植えてあるけれど何だか元気が無いなぁという
植栽に活力を取り戻そうとする試みになります。
ナンテンですが、何だか今ひとつな感じがしませんか?
撮影時期はゴールデンウィークが明けてすぐの5月上旬。
もっと新芽が力強く出てきても良い筈なのですが、そういう兆候が見られません。
地面に目をやると、何だか湿っぽいです。
こちらはヒイラギです。
明らかに樹勢が弱いのが見て取れると思います。
地面の状況は・・・こちらは高めに植えてあって根っこに盛られている土に何だか違和感があります。
基本的に樹木の樹勢を決める最大ポイントは土にあります。
団粒構造という「固まりやすいけどほぐれやすい」というワガママボディ(笑)を持った土が最もいい土とされていて、大抵の植物はこの土を好みます。(もちろん、岩肌の裂け目から生えているようなシブカワツツジなんかは例外です。)
団粒構造は、小さな土の粒子と粒子が適度にくっついた団子をいくつも形成している状態で、なぜこれが良いかといいますと、団子と団子の隙間に水分が流れてくれるからなんですね。
植物は基本、土中の水分に溶けている養分や酸素しか吸収できませんので、栄養摂取も呼吸のための酸素摂取も、土中の水分を根っこが吸い上げやすいような環境で無かったら、ストレスが掛かってしまう訳なのです。
これらを踏まえて、今回は根っこ周りの環境を整えてあげるのが主目的になります。
まずは水分を上げやすい土を周りに作るのが先決なんですね。
間違っても化成肥料とかをガンガン施肥するというようなことは避けてください。
化成肥料は根っこにあたると悪影響がありますし、そもそも病人にサーロインステーキを与えても元気にならないのと同じ理屈です。
こちらは最初にご紹介したナンテン。
樹木自体が小さいので、一度掘り上げて土の環境を整えてから再度植え込みました。
予想通り、根っこの伸びはあまり良くなかったので、こうやって掘り上げた際に根っこの先端を鋭利な刃物で(この場合はハサミで)スパッと切っておくと後々の発根がキレイに行ったりします。
根っこと土の塊の事を根鉢(ねばち)というのですが、根鉢と幹や枝葉とのバランスを見ると植え込みをした後に倒れる心配はなさそうだったので、支柱はナシで植栽しました。
こちらはヒイラギ。
重量もあるので持ち上げる事はせず、根鉢周辺の根っこを一度きれいに整理して発根を促し根っこ周辺の土を多めに盛り付け、根っこを乾燥から守るようにしました。
ヒイラギに関してはお金を掛ければ掛けるほど、もっと効果的な施工もできるのですが、まあそこはご予算とのバランスもありますし、だいたいこのくらいかなーという落としどころにしました。
あとは経過観察。植栽工事を行った際は、3か月後6か月後、1年後と定期的に巡回を行うようにしていますので、今後の育成状況を見守りたいと思います。
2021年07月08日
準備万端整って、いよいよ生垣の植栽作業に入っていきます。
リサーチの段階で、元々の土は比較的柔らかい土であることが判明していたのですが、しっかりと根付きやすいように小さな掘削機械(ミニユンボ)を使って広範囲に土を起こし、土壌改良剤としての牛糞堆肥を投入しました。
これにより、植栽が生育しやすい環境がしっかり整うので、生垣の成長もサポートしてくれる筈です。
植え込む植木の根っこ周りだけ掘り取って植え込めば、もちろん仕事は早く進むのですが、こういった目に見えない部分にも手間をかけないと、結果的に良い庭にはならないんですね。植えてしまえばこっちのものではいけません。私たちは造園屋さんなので、植え込みした植物のお世話も委託されるケースが多々あります。そういう責任も考えている手前、コストは考えなければいけませんが、良い仕事には仕方のないことなのかなと感じています。
そして生垣の植栽です。
今回はイヌマキという遠州地方では非常にポピュラーな植物を採用しました。
非常に強い植物で、ともすると大きくなりすぎてしまうのも難点なのですが、それは裏を返せば目隠しになるまでの期間が短くて済むということでもあります。
また、イヌマキは病害虫に強く、滅多なことでは枯れませんので、割と放ったらかしでも成長してくれます。
浜松を含む遠州地方にイヌマキの大生垣が多いのは、畑のみかんを遠州の強風から防ぐために、成長が早く風をすぐ防いでくれるからという理由と、毎日頻繁に畑へ出向くこともできないので管理が楽であるということが大きな理由なのかなと感じています。
角地も何とか上手く処理できました。
あとは成長を見守るのみですね。楽しみです。
お施主様のご要望で、ヒラドツツジとアジサイも植栽しました。
アジサイは、当社の園芸店で販売していたものをお持ちしました。
ヒラドツツジは、こちらもとても強い樹木なので、シーズンになったら、きっと綺麗な花を咲かせてくれることと思います。
次回は、生育が弱い樹木に活力を取り戻させる試みをご紹介します。
2021年06月25日
カーポート裏のフェンスが剥き出しになっている場所に生垣を植栽するご要望をいただきました。
当社は浜松市北区に会社がありますが、アクセスさえ良ければ天竜区でも作業にお伺いすることが可能です。目安としては自動車で片道1時間程度でしょうか。
もし庭造りや庭リフォームをお考えの方で「こんな遠くまで来てもらえないだろうな・・・」とお思いの方がいらっしゃいましたら、一度お問い合わせください。
カーポートの後ろは隣地の公共施設が目につきます。
一部、コンクリート平板が設置されている区間もあり、なかなか素人の方の装備では難しいと感じました。
周辺を多少試掘してみて、それほど難儀な事は無さそうだな手応えを感じたので、そこは見積もりに反映させます。
生垣の新設とは別に、既存の植栽が樹勢が悪く診てほしいとのご依頼を受けましたので確認したところ、明らかに根っこの状態が良くないのではないかというサインをいくつか見つけましたので、一度掘り上げて土壌改良した上で植え直し、発根を促すような環境に変えるご提案をさせていただきました。
そして、こちらの御施主様宅には立派なサクラの木があるのですが、よく見ると「てんぐ巣病」に罹患している枝がチラホラ見受けられます。
写真中央、下段の幹の股部分や中央上の方に、モジャモジャと通常より多めに細かい枝が出ているのが見えますでしょうか?
これはお施主様がご自身で発見されてご心配されていたので、まだごくごく初期の段階ではあるのですが、工事の際に一緒に病枝を切除してしまいましょう、とご提案させていただきました。
てんぐ巣病とは、枝葉が異常なまでに細かく出てしまう病気の一種で、モジャモジャとした細かい枝葉が比較的高いところに発病することから、この名がついたとも言われています。
放っておくと全体に転移し、枝をスカスカのスポンジ状にしてしまい、最終的には枯らしてしまいます。
まずはベテランの職人に先乗りしてもらって、てんぐ巣病の枝を徹底的に切除してもらいました。葉っぱが載っているときにはなかなか発見するのは難しいのですが、そこは年季の入ったベテラン職人です。「取り切ったはずだよ」と白い巨塔の財前教授もかくやという頼もしい言葉をもらいまして(性格は財前教授とは全く違う誠実な人です・念のため)後顧の憂いなく植栽作業に進んでいけます。
2021年06月18日
倉庫の裏にあるデッドスペースをキレイに整備できないかというご依頼をいただきました。
写真には写っていませんが、すぐ横には畑があるので、畑仕事の休憩に使ったり、ちょっとした集まり(お茶会とかバーベキューとか?)に使ったり、構想は広がります。実はこの段階が一番楽しいのかもしれませんね(笑)
とりあえずボサボサになっていたスペースを草刈り&樹木剪定を行い、全容の見える状態にしました。朽ちそうに見える小屋の様なものも趣があっていいですね!茶道でいうところの待合のような感じに使えるかもしれませんが、とりあえずこのスペースは保留という事で、その他の広いスペースをキレイな庭にして、ローメンテナンスを実現させることを主眼に置き、進めていきます。
バックホウ(ショベルカー)を使って雑草の根や不要な樹木の根も掘り取っていきます。この段階でしっかり根っこの処理をしておかないと、後々どこからともなく伸びてくる量が多くなりすぎてしまって、全く取り返しがつかなくなってしまいますので、時間をかけて作業します。
きっちりと下地を作ることができました。
その次は防草シートと砂利敷きを行います。
防草シートは予算の関係もあり、簡易的な薄手のシートを採用しました。
当社ではこのシートといかな雑草にも負けないと触れ込みのザバーンの2種類を採用しています。
簡易シートは確かに強度も弱いですし、放っておけば劣化も早いのですが、シートの上に砂利を敷く条件下であれば紫外線による劣化も問題ないので、こちらの経済的なシートをお勧めする様にしています。
このほか、様々な制約もあったりしますので、詳細は現場ごとにお伝えできればと思います。
とにかく、今回の現場ではこちらの簡易シートでも問題ないという結論です。
切り株を残してあるのは、切り株の脇から芽を出させて新たな雰囲気の庭木として生まれ変わらせようという試みです。
ズドーン!と太い幹が高く伸びる庭木から、根本で何本か細い幹が伸びる株立ちのような雰囲気を持たせようとしています。
完成までに数年かかるかと思いますが、そこは自然の生き物ですので、待っていただき、年々成長していく樹木を時折見ては「おっ!?」となるのもまたオツなのではないでしょうか。
また、しばらく手をつけていないスペースをしっかり整地すると思わぬ問題点が解消したりします。
何だかジメジメしているなぁ、こんなはずじゃないんだけどなぁ、と不思議に感じていたところ、何と排水がうまくいっていなかった問題点を発見しました。
倉庫の屋根に降った雨水が雨樋を通って雨水パイプに入るのですが、肝心の地上部分が地下へと続く部品とジョイントされておらず、ボサボサの枝の干渉などによって、上手く地中へ雨水が入っていなかったんですね。様々な思惑もあって地中部と地上部のジョイントはしていなかったんでしょう。この構造はこのままおくとして、パイプの周辺は防草シートと砂利で覆ってしまうので、これ以降、枝が干渉する様な事はないと言えるでしょう。これで、ジメジメも軽減されるかと思います。
残した植栽の周りには小石で砂利留めを行い、地被類を植えて庭のバランスを整えます。
元々このエリアにはツワブキが大量に生えていましたので、それを再利用しない手はありません。
ツワブキは草の類にしては幅も高さも強調することができ、丸い葉っぱも印象的な本当に使い勝手の良い植物です。
和風によりすぎてしまうのは難点と言えば難点ですが、他に組み合わせる植物次第で様々なカテゴリーの庭に植栽できると思います。
日陰にも強いので、うちの庭は日陰で・・・とお悩みの方は、ぜひ使ってみてください。
再利用といえば、こちらの側溝ふた。これも現場に大量に余っていたものですが、庭エリアと倉庫の表側を繋ぐための通路を歩きやすく汚れにくくするために再利用しました。
これだけの通路面積をオシャレなアンティークレンガで作ろうと思ったら、まあ予算がいくらあっても足りません。側溝のふたといえど、歩きやすさや足元の汚れなさは抜群に良いのです。庭のメインエリアからは外れているので、まあこういう通路もご愛嬌ということで。
畑と庭は実は段差があって間知ブロックで仕切られているのですが、長年の使用によって埋め立てられ、畑と庭がほぼフラットな高さになっている部分もあります。そこに、鉄平石という薄い石をモルタルで据えてその左右をしがらみで通れない様にし「入口出口はここですよ」と暗黙のうちに利用者に伝えるエリアを作りました。
間知ブロックの一番上はコンクリートとモルタルでまっ平に仕上げてあるので,その上に石を置いても高さが出過ぎてしまいがちなのですが、鉄平石は薄いものもありますので、違和感なくモルタルの天端の上に据えることができます。
また,竹をしならせて作る「しがらみ」も、近くにある竹林と相待って良い雰囲気を作ってくれています。
(ちなみに世間のしがらみなど、がんじがらめの人間関係を表すしがらみという言葉の語源でもあります。写真を見ると確かに、振り解きにくい形状をしています・笑)
もう一箇所、庭から畑へ、畑から庭へと移動する階段をつくりました。
細かい仕事をしても全く生きてこない広大なスペースの一角ですので、逆にあえて、現場にあった石ころと木の杭、番線などを使って無骨に仕上げてみました。
思ったよりも良い味が出ているんじゃないかなと感じます。
これにて、人が集まることを意識した、ローメンテナンスの畑横の庭、完成です。
今現在、コロナ禍によってなかなか活かせないのかもしれませんが、いつかきっと、畑仕事の休憩に皆で笑いながら楽しんでいただけることを信じています。
2021年06月11日
今回はちょっと変わった庭リフォームの現場をご紹介します。
昔に作られた土留めは間知ブロック(けんちぶろっく)を積み上げた、道路脇にあるごくありふれたものでした。
お客様はこの見た目をなんとかしたい。ついでに庭木の整理を行いたい。ただ、残したい木はあるのでそれは残したい。というオーダーを頂きまして、ここ最近当社で扱っている石材をふんだんに使った土留に変更する案をご提案しました。
早速パースを作成し、見積書と一緒にお持ちしたところ一発でご快諾いただきまして、早速仕事に着手することとなりました。
まずは間知ブロックを取り除きます。
実はこのブロック、地味に奥行きのある形状をしていて、ナメてかかるととんでもない失敗をするのですが、今回は重機がしっかり投入できる現場でしたので、ゴリゴリとブロックを取り除いていきました。
一番大きい白っぽい幹の木はモチノキで、この木の根っこの張り方も想像した通り。難しい埋設パイプなんかもなく、とりあえず一安心しました。
石積みのスタートとゴールの角は山石と呼ばれる地元産出の石を使います。石積みに使う石は大きなものはなく、片手で持てるくらいのサイズなので、カチャカチャと積んでいくには良いのですが、一番端の強度に不安が残ります。そこで、端っこだけは山石を使ってみることにしました。
これはこれで味のある庭になりそうで良かったです。
そうしたらドンドン石を積んでいきます。
ドンドンドンドン積んでいきます。
ここまできたら、あとは最後の天端(てんば)を残すのみ。
最後は石の頂上が全部一直線に揃わないといけないので、なかなか時間のかかる作業になります。
そして、天端の石を積み上げたら・・・完成です。
この石の表情、和風にも洋風にも、何にでも合いますね。アーリーアメリカンも演出できるんじゃないでしょうか?
ターシャの庭とかお好きな方は、ぜひお問い合わせください。
楽しいものをお作りできると思います!